大田区下丸子のひまわり歯科 副院長の佐藤です。本日は、歯の疾患の一つ、「歯周病」についてのお話しです。
はじめに
歯周病は、虫歯と並んで歯の二大疾患といわれ、我が国で患っている方が非常に多い疾患です。
日本人の成人約80%が歯周病かかっている、というデータも存在します。
また、歯を失う原因の第一位が「歯周病」。第二位が「虫歯」、第三位が「破折」と続きます。(8020推進財団「第2回 永久歯の抜歯原因調査」2018年より)
歯周病が全身に様々な影響を及ぼすことも解明されています。歯周病の予防、治療がお身体の健康を守ることにもつながります。
歯周病とは?
歯周病は、細菌の感染によって、歯を支える歯ぐき(歯肉)や骨(歯槽骨)が壊されてしまう病気です。
プラーク内の細菌から生まれる毒素によって、少しづつ歯茎の炎症が始まります。放置していると歯周ポケットがより深くなり、歯茎の内部では歯を支える骨が溶けていきます。やがて歯がグラグラとしてきて、しまいには、歯が抜け落ちてしまいます。
かなり病状が進行しないと自覚症状があらわれないことから、気付かない間に進行してしまうことが多く「静かな病気」とも言われています。
歯周病の原因は?
原因は、歯の周りのプラーク(歯垢)です。プラークは単なる食べカスではありません。プラークは、歯の付着物などを栄養源に細菌が増殖した物で、細菌の塊です。プラーク1mgに1億個以上の細菌が存在しているとも言われ、まさに細菌の温床なのです。
歯や歯の周りの歯磨き・清掃が行き届かないでいると、留まったプラークが毒素を出し、歯周組織の炎症を引き起こし、組織を破壊し始めます。歯茎から出血しやすくなったり、赤く腫れてきたりするのはそのためです。
歯周病のリスクを高める要因とは?
歯周病の直接の原因はプラークですが、歯周病の悪化には、その他多くの要素が関わっています。
それは「お口の中の環境」「生活習慣」などで、間接的に歯周病を悪化させる要因、リスクファクター(危険因子)となります。これらの生活習慣やお身体の状態とも大きく関わっているため、歯周病は、生活習慣病の一つとも言われています。
歯周病のリスクを高める要因 その1
局所的なリスクファクター(お口の中の環境など)
・歯磨きの不良
・唾液の分泌量が少ない
・歯並び、部分的に歯がない
・歯ぎしり、くいしばり、かみしめ
・不適合な被せ物や義歯
歯周病のリスクを高める要因 その2
全身的なリスクファクター(生活習慣など)
・喫煙
・ストレス
・不規則な食習慣 生活習慣
・女性ホルモンの影響
・糖尿病
・骨粗鬆症
・肥満
歯周病と全身の関係については、別の記事をご覧ください。
歯周病の治し方は?
(1)毎日のセルフケア~正しい方法で歯を磨く~
まずは、毎日の歯磨きで歯をきれいにすることが重要です。
「そんなこと、もう頑張ってやっている」とおっしゃる方もいらっしゃると思いますが、歯磨きで完璧に汚れを取り除くことはとても難しいことです。
毎日の習慣で、自己流になってしまったり、良くないクセがついてしまっていることも少なくありません。
また、歯の大きさや歯並び、お口の環境は人それぞれです。お一人お一人に合った正しい方法で磨くことが重要です。
正しい歯磨き方法をお知りになりたい方のために、当院では歯科医師、歯科衛生士による歯磨きのご指導、ご相談を行っています。
正しい歯磨きの方法を身につけることは、一生付き合う大切な歯を守ることにつながります。
(2)生活習慣を見直す
リスクファクターについて前述したように、生活習慣を見直すことも、歯周病予防では重要です。
(3)歯科医院でのプロフェッショナルケア
歯周ポケットまで入り込んでしまった汚れや歯石をご自身で取り除くことは不可能です。放置するとプラークの中の細菌が、歯や歯周組織に悪さを始めます。歯科医院の専門の器具や機械を使って、歯石を取り除きましょう。
(4)歯科医院での定期健診やメンテナンス
歯磨き・お口の清掃状況・唾液の分泌量や質・生活習慣などにより個人差はありますが、一般的に、飲食した後約8時間~24時間程度でプラークが形成されます。そのプラークが、約2~3日で石灰化を始め、一週間から二週間程度で歯石となって付着します。
その方に適したペースで、歯科医院での定期健診や歯石除去などを受けていただき、経過観察やメンテナンスを行うことが大切です。
まとめ
以上のように、毎日の歯磨きと生活習慣、健康管理に気を付けていただき、大切な歯を失うことのないよう予防を心がけましょう。
歯周病が全身に様々な影響を及ぼすことも解明されてきています。歯周病の予防、治療がお身体の健康を守ることにもつながります。